○むつ市こどもの笑顔まんなか条例

令和6年3月15日

条例第3号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 市の責務及び保護者等の役割(第4条―第8条)

第3章 こどもにやさしいまちづくりの推進(第9条―第13条)

第4章 こどもの権利侵害に対する相談と救済(第14条―第19条)

第5章 こどもの権利相談窓口の設置(第20条)

第6章 こどもに関する施策を総合的に推進するための計画(第21条―第22条)

第7章 雑則(第23条)

附則

日本には、平和な社会を維持し、国民の基本的人権を永久の権利として定めている日本国憲法があります。

また、日本は、世界の国々と、児童の権利に関する条約を結び、誰もが生まれたときから権利をもつ主体であり、あらゆる差別や不利益を受けることなく、ひとりの人間として、自分らしく、豊かに成長、発達していく権利があることを認め、これを大切にすることを約束しています。さらに、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、全てのこどもが、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指し、こども政策を総合的に推進することを目的として、こども基本法が制定されました。

こどもは、誰もが幸せに生きる権利をもっています。命が守られ、自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、児童の権利に関する条約やこども基本法に定める全ての権利が保障されなければなりません。

こどもは、自分のもつ権利を正しく学び、自分以外の人も同じ権利をもっていることを理解するとともに、お互いの権利を尊重し合うことが大切です。自分を大切に思う気持ちや自分以外の人を思いやる気持ちをもつことが、社会性を身につけることや命を大切にすることにもつながります。

こどもは、まわりの人から大切にされていると実感することで、自分や自分以外の人を大切にする心が育まれるとともに、物事に挑戦する気持ちが高まり、自分のもっている能力を更に広げていくことができます。

大人は、こどもの権利を実現していくために、こどもの成長と発達する力を認め、こどもの思いや意見を受け止め、誠実に向き合うことが必要です。そして、こどもに関することが決められ、行われるときは、こどもにとって最も良いことは何かを共に考え、支援していく責任があります。

私たちは、こどもにやさしく子育てがしやすいまちづくりを推進していくため、こどもの意見を取り入れながら、地域全体でこどもに関わる施策に取り組んでいく必要があります。

地域の宝であるこどもは、むつ市の将来を担っていく大切な存在です。こどもが、四季折々の豊かな自然に恵まれたむつ市で、地域の一員として尊重され、地域の人々のぬくもりの中で健やかに成長し、夢と希望をもって未来へ羽ばたいていくことを願い、条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、全てのこどもが命を守られ、自分らしく生き、健やかに成長していくことができるよう、こどもを権利の主体として認め、こどもにとって大切な権利を保障するとともに、市の責務並びに保護者、育ち学ぶ施設、市民及び事業者の役割を明らかにすることにより、その育ちを支え、こどもが笑顔になるようこどもをまんなかに捉え、こどもにやさしいまちづくりを推進することを目的とする。

(ことばの定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) こども 18歳未満の者その他当該者と等しく権利を認めることが適当と認められる者をいう。

(2) 保護者 親権を行う者、未成年後見人その他の者で、こどもを現に監護するものをいう。

(3) 育ち学ぶ施設 児童福祉法(昭和22年法律第164号)に定める児童福祉施設、学校教育法(昭和22年法律第26号)に定める学校、専修学校及び各種学校その他の施設で、こどもが育ち、又は学ぶことを目的として通学し、通所し、又は入所する施設をいう。

(4) 市民 市内に居住し、通勤し、又は通学する者(こどもを除く。)をいう。

(5) 事業者 市内に事業所又は事務所を有し、事業を営む個人又は法人その他の団体をいう。

(基本理念)

第3条 こどもの権利の保障は、次に掲げる事項を基本理念として推進するものとする。

(1) 日本国憲法、児童の権利に関する条約(平成6年条約第2号)、こども基本法(令和4年法律第77号)の理念に基づき、こどもを権利の主体として尊重すること。

(2) こどもに関わることを決める場合は、こどもの年齢、成長及び発達に応じて、こどもの意見を尊重し、こどもの最善の利益を第一に考慮すること。

(3) 社会を担っていく存在であるこどもが、社会の一員として意見表明し、社会参加することができるよう環境を整備すること。

(4) 市、保護者、育ち学ぶ施設、市民及び事業者が、それぞれ相互に連携し、及び協力することにより、こどもにやさしいまちづくりに取り組むこと。

第2章 市の責務及び保護者等の役割

(市の責務)

第4条 市は、こどもの権利を保障するため、こどもに関する施策を総合的に実施しなければならない。

2 市は、こどもに関する施策を推進するに当たり、保護者、育ち学ぶ施設、市民及び事業者と協働するとともに、国及び他の地方公共団体と連携して取り組まなければならない。

3 市は、保護者、育ち学ぶ施設、市民及び事業者が、それぞれの役割を果たすことができるよう、必要に応じて支援し、相互に連携が図られるよう調整を行わなればならない。

(保護者の役割)

第5条 保護者は、こどもの成長及び発達について第一に責任及び義務があることを認識し、こどもの最善の利益を考え、その権利を保障しなければならない。

2 保護者は、こどもの意見等に耳を傾け、こどもの年齢、成長及び発達に応じて、こどもの意見等を尊重するように努めるものとする。

3 保護者は、育てているこどもに対して、虐待等こどもの権利を侵すような行為を行ってはならない。

4 保護者は、こどもを育てることに関して困ったときは、市その他関係機関に必要な支援を求め、より良い家庭環境づくりに努めるものとする。

(育ち学ぶ施設の役割)

第6条 育ち学ぶ施設は、こどもの健やかな成長及び発達にとって重要な役割を果たすことを認識し、こどもの最善の利益を考え、その権利を保障しなければならない。

2 育ち学ぶ施設は、こどもが社会性を身につけることができるよう支え、こどもの年齢、成長及び発達に応じて、こどもの意見等を尊重するように努めるものとする。

3 育ち学ぶ施設は、いじめ、虐待及び体罰について、関係機関と連携し、未然防止、早期発見及び解決に向けた取組を行わなければならない。

(市民の役割)

第7条 市民は、地域がこどもにとって様々な経験を通して豊かに成長し、及び発達するために大切な場であることを認識し、こどもの最善の利益を考え、こどもの権利を保障しなければならない。

2 市民は、こどもの意見等に耳を傾け、こどもの年齢、成長及び発達に応じて、こどもの意見等を尊重するように努めるものとする。

3 市民は、地域の中で、こどもにとって安全かつ安心な環境を整え、その環境を守るよう努めるものとする。

4 市民は、地域の中で、こどもが地域の一員として参加できる機会をつくり、参加のための適切な支援をするよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第8条 事業者は、子育てにおける保護者の役割を理解し、保護者が仕事と子育ての両立ができるよう、職場環境の整備に努めるものとする。

第3章 こどもにやさしいまちづくりの推進

(こどもの権利の普及)

第9条 市は、こどもの権利並びにこの条例の意義及び内容について周知し、その普及に努めるものとする。

2 市は、11月20日を「むつ市こどもの権利の日」とし、その周知を図るとともに、必要な取組を行うものとする。

3 市は、こどもがこどもの権利について学び、自分と他者の権利を尊重できるよう、必要な支援を行うものとする。

(こどもの意見表明及び参加)

第10条 市は、こどもに関わる施策又は取組(以下「施策等」という。)について、こどもが意見等を表明し、又は参加する機会を設けるとともに、こどもの年齢、成長及び発達に応じて、こどもの意見等を尊重するよう努めるものとする。

2 市は、施策等について、こどもが理解を深め、自分の意見を表明することができるよう、こどもの視点に立った分かりやすい情報発信に努めるものとする。

(こどもの居場所づくり)

第11条 市、育ち学ぶ施設及び市民は、こどもが安心でき、自分らしく居られる多様な居場所づくりに努めるものとする。

2 市、保護者、育ち学ぶ施設及び市民は、家庭、育ち学ぶ施設その他多様な地域活動の場が、こどもが安心できる居場所となるよう努めるものとする。

(こどもの命と安全を守る取組)

第12条 市は、こどもを犯罪、事故その他の危害から守り、こどもの命と安全の確保に必要な取組を行うものとする。

2 市は、いじめ、虐待、体罰その他身体的、精神的暴力の防止及び早期発見に努めなければならない。

(子育て家庭への支援)

第13条 市は、保護者が安心して子育てができるよう必要な支援を行うとともに、子育てしやすい環境づくりに努めるものとする。

2 市は、保護者がこどもを養育することが困難な状況にある場合は、その状況について特に配慮した支援に努めるものとする。

第4章 こどもの権利侵害に対する相談と救済

(こどもオンブズパーソンの設置)

第14条 市は、こどもの権利を守るとともに、こどもの権利が侵害された場合の救済を目的として、むつ市こどもオンブズパーソン(以下「こどもオンブズパーソン」という。)を置く。

2 こどもオンブズパーソンは、非常勤の特別職とする。

3 こどもオンブズパーソンの定数は、3人以内とする。

4 こどもオンブズパーソンは、第16条に規定する職務の遂行について利害関係がなく、こどもの権利に理解が深く、豊かな経験を有する者のうちから、市長が委嘱する。

5 こどもオンブズパーソンの任期は、3年とする。ただし、補欠のこどもオンブズパーソンの任期は、前任者の残任期間とする。

6 こどもオンブズパーソンは再任されることができる。

7 こどもオンブズパーソンは、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(こどもオンブズパーソンの役割)

第15条 こどもオンブズパーソンは、こどもの権利の擁護者として、こどもの意見等を聴き、こどもの最善の利益を図るよう努めるものとする。

2 こどもオンブズパーソンは、こどもの最善の利益を図るために、関係機関等と相互に協力するよう努めるものとする。

(こどもオンブズパーソンの職務)

第16条 こどもオンブズパーソンの職務は次に掲げるとおりとする。

(1) こどもの権利の侵害に関する相談に応じ、必要な助言及び支援を行うこと。

(2) こどもの権利の侵害について、必要な調査を行うこと。

(3) こどもの権利の侵害に関する救済を目的として、関係者間の調整を行うこと。

(4) こどもの権利の保障に関し、市に意見を表明すること。

(5) こどもの権利及びその擁護に関し、普及啓発を推進すること。

(こどもオンブズパーソンへの協力)

第17条 市及び育ち学ぶ施設は、こどもオンブズパーソンの独立性を尊重し、その活動に協力しなければならない。

2 保護者、市民及び事業者は、こどもオンブズパーソンの活動に協力するよう努めるものとする。

(意見の尊重)

第18条 市は、こどもオンブズパーソンから第16条第4号の規定により意見表明を受けた場合は、これを尊重し、必要な措置を講ずるものする。

(活動の報告)

第19条 こどもオンブズパーソンは、毎年の活動状況等を市長に報告するものとする。

2 市長は、前項の規定による報告を取りまとめ、公表するものとする。

第5章 こどもの権利相談窓口の設置

(設置)

第20条 市は、こどもの権利に関する相談窓口を設置するとともに、こどもオンブズパーソンを補佐するため、こどもの権利に係る相談、調査、調整等を行う相談員を置く。

第6章 こどもに関する施策を総合的に推進するための計画

(策定)

第21条 市は、こどもに関する施策を総合的に推進するための計画(以下「計画」という。)を策定するものとする。

(評価及び検証)

第22条 計画の実施結果の評価及び検証は、むつ市子ども・子育て会議条例(平成25年むつ市条例第27号)第1条に規定するむつ市子ども・子育て会議が行うものとする。

2 市は、前項の評価及び検証のほか、必要に応じて計画の実施結果について、こどもオンブズパーソンの意見を聴くことができる。

第7章 雑則

(委任)

第23条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和6年4月1日から施行する。

(むつ市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

2 むつ市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成6年むつ市条例第1号)の一部を次のように改正する。

(次のよう略)

むつ市こどもの笑顔まんなか条例

令和6年3月15日 条例第3号

(令和6年4月1日施行)

体系情報
第8類 生/第1章 社会福祉
沿革情報
令和6年3月15日 条例第3号